スカーレットの悪女
と、次の瞬間、佐々木は銃口を下に向けて志勇のつま先に向けて弾丸を放った。



「っ……!」



志勇は今度こそ膝を折ったまま立ち上がれなかった。


車内から壱華の叫び声が聞こえ、私は起きたことが信じられず声も出なかった。



「兄貴!おい、もういいだろ!てめえらの目当ては手に入ったんだろうが!」

「やはり手負いの獣は厄介ですね。諦めが悪くて困る。歩行困難にしておくべきでした」

「待って!」


だけど、今ここで動かなくてどうする。


私は佐々木が目を離した隙を突いて、その腕にしがみついた。


部下と見られる男が私の襟首を乱暴に掴んだけど、佐々木がそれを制止した。
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