スカーレットの悪女
「あなたは何をしているんですか?」

「……私も連れて行って」



これ以上の争いは双方にとって無益。


壱華の奪還が不可能なら、私が差し違えても壱華を護らなければならない。


覚悟を決めて意志を告げると、佐々木は冷ややかな目で私を見つめている。


試している、とも取れる目つきだった。


ここで選択肢を誤ることは許されない。


この男を揺さぶる一声を考えろ。



「佐々木……いや、“赤星”!」



私は迷った挙句、彼の真名を明かした。
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