スカーレットの悪女
顔を上げたけど、相変わらず彼は目元をぴくりとも動かさず感情が読み取れない。



「ようやくあなたと対峙する機会ができましたね」




怖い。久しく感じていなかった恐怖にうまく言葉が聞き取れない。


感情の機微をまったく見せず人を撃つような男だ、いったい何を企んでいるのか。


これが非道の覇王の腹心、赤星か。


右腕でこんなに手強いなら、覇王はいったいどれほど恐ろしい男なのだろう。




「聞きたいことは山ほどありますが、まずひとつ」



彼は人差し指を立て、そしてゆっくり口を歪めた。



「どうして私の本名をご存知で?」



不気味に微笑み、佐々木の顔つきが豹変した。


任侠の赤星の顔だ。
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