スカーレットの悪女
その夜は水以外何も喉を通らず、38度台の発熱を繰り返す壱華の看病をしていたらいつの間にかその隣で眠ってしまっていた。


私は相当心労が重なっていたのか夢も見ることもなく、畳の上で朝を迎えた。


起き上がると、誰かが毛布をかけてくれたようで寒さに震えずに済んだ。


誰がこんなことしてくれたんだろう、赤星だろうか。


あの人がこんな親切なことをしてくれるとは思わないけど、西雲にも良心を持つ人がいるらしい。


壱華は隣で寝息を立てていて、昨日の夜より顔色が良かった。


安心して部屋を見渡すと、部屋に旅館に置かれているサイズの小さめのテレビがあることに気が付いた。
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