スカーレットの悪女
壱華にこいつとの不毛な会話を聞かれたくないし、どうせ私はオモチャ扱いで興味ないはず。


私は部屋を飛び出した。


たぶん望月は壱華を殺さない。


壱華の出自のこともあって丁重に扱うはずだから、少し壱華から離れてもいいと判断した。



「実莉ちゃん、どこに行くん」



しかし望月は部屋を飛び出し歩いて追いかけて来た。


こっちは早足のつもりなのにどんどん距離が縮まる。


脚の長さが違うとこんなに一歩に差が出るのか。



「ついて来ないでってば、変態!」



仕方なく言葉で牽制しようと振り返ったら、望月はもう真後ろに立っていた。
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