スカーレットの悪女
壱華の秘密というのは、厳密にいえば壱華の生みの母親に由来する。



「壱華の母親が望月幹奈(かんな)であること。
彼女は西雲会統帥の実の娘で、20歳の時に堅気の男と駆け落ちして組織を抜けた。
つまり壱華は、西雲会統帥の孫娘で、この混乱を引き起こした女の隠し子だってこと」



望月幹奈。


彼女は壱華の本当の母親で、西雲会が崩壊の一途を辿るきっかけとなった女性。


今から20年前、西雲会の統帥の娘であった幹奈は、妻に先立たれた若頭候補の男・大希の父親と結婚をする予定だった。


しかし彼女は直前で逃げ出し、その後西雲は跡目争いで揉めて分裂した。


私は原作を読んだ時、正直なところ、たかが組長の娘が行方不明になったせいで崩壊するとは、なんて脆い組織だろうと思っていた。


それから20年経って、隠し子の壱華の存在が発覚したからといって執着する理由がいまいち分からなかったけど、転生して事実を知るとその考えは変わった。
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