スカーレットの悪女
私は望月の顔をじっと見つめると、次の瞬間強気に笑った。



「志勇は諦めないよ。それを知って攫ったんでしょ」



笑みを携えて断定すると、望月は至近距離で目を丸くして態勢を戻す。


虚を突かれた西の虎は、思い通りにいかず不機嫌そうに顔をしかめた。



「肝据わりすぎやろ。泣きべそかいて絶望するとこやで今の」

「いいですね、屈強なメンタルに親近感が湧きます」



すると、今まで黙っていた赤星がほんの少し口角を上げて私を見ていた。


彼が喋り出したのはつまり、望月の尋問が終わったということ?



「赤星みたいのが増えてたまるか。ツッコミ追いつかんわ」



望月は「やれやれ、実莉ちゃんはお転婆やなぁ」なんて言いながら廊下を進み、その後は戻って来なかった。


撃退できた、ってことでいいのかな。


とりあえず疲れた、壱華の看病をして気を紛らわそう。
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