スカーレットの悪女
「焦っても仕方ないよ兄貴。どうせ抗争が終わるまでは壱華ちゃんの身柄は西雲に預けられることになる」



俺が撃たれたことによって荒瀬と極山の抗争が始まった。


俺を撃ったのは警察官の佐々木に化けていた西雲の赤星だが、奇襲の指示をしたのは極山会。


その証拠に俺たちが奇襲をかけられた数十分後、武装した集団が俺の住んでいたマンション付近に姿を見せた。


あと少し遅ければ、俺たちは連中に壱華もろとも殺されていたことだろう。



「その間に望月の考えが変わったらどうする」

「西雲の目的は極山を潰すこと。
弱体化したあいつらが荒瀬に敵うわけないのに、負け戦はしないはずだ」



荒瀬に恩を売るように指示した望月の思惑が気になるが、あの赤星とかいう能面野郎が極山から俺たちを守った事実は変わらない。


奇襲された後、俺が撃たれずあの場にとどまっていれば、極山の手下どもに襲撃され今頃あの世を彷徨っていただろう。
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