スカーレットの悪女
さらに荒瀬の内部事情を把握し、壱華を殺そうと目論む老害たちから一時的に引き離す目的で西雲に連れ去った。


大方、保護してやったという名目のもと見返りを求めるつもりだろうが、大きな借りができた。


これでもし本当に壱華を五体満足で返す気があるならば、俺を撃った赤星は咎めないつもりだ。



「心配なのはみーちゃんの方だ。
あの子は“相川壱華の義理の妹”ってだけでなんの利用価値もない。最悪殺される」


客観的に見て壱華にはまだ希望がある。問題は実莉だが、俺は颯馬と違う考えだった。



「……どうもおかしいと思わないか」

「何が?」

「実莉に価値はない。邪魔ならあの場で殺せばいいものを、なぜ赤星は生かした」



俺たちは極道だ。慈悲や情けは無意味に近い。


それが非道の覇王と呼ばれる腹心ならなおさら、あの場で実莉を殺さず連れ去った理由が分からない。
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