スカーレットの悪女
以前、司水が神木は次男坊の方が素質がある、などと呟いていたことを思い出した。


家族を殺され正気でないとは言え、13で俺に正面切って恨みつらみを述べる度胸は誉めてやろう。


うまく育てればこいつは数年後に化ける。


ただでさえ俺の敵は多いため、従順な犬は増やしておきたい。



「そんなこと……」

「俺ならできる」



迷う凛太朗に断言すると、燃え上がるような復讐心を胸に目の色が変わった。


ガキがする顔じゃねえよ。覚悟の強さに思わず俺は笑みをこぼした。



「条件は?」

「俺に忠誠を誓え。お前はまだまだクソガキだが伸びしろがありそうだ。ただし、使えないと見込めば捨て置く」

「……分かりました。今日からあんたが俺の主だ」

「ククッ、いい目だ」



凛太朗は一切の迷いを見せず、復讐の代償に忠誠を誓うと約束を取り交わした。


いい駒を手に入れた。存分に働いてもらおう。


ひとまず書類を渡して司水にお使いと一緒に今起きたことを話してこいと命令すると、凛太朗は深く頭を下げて静かに部屋を出ていった。
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