スカーレットの悪女
「はー、冷や冷やした」



凛太朗がいなくなると、颯馬がドアを閉めながら視線だけ俺によこした。



「凶器持ってた可能性考えて抱きしめたのかよ兄貴」



颯馬が心配するのは無理もない。


あのガキ、文句を言うに飽き足らず凶器を持ってやがった。


この俺を殺そうとするなんざ、いい根性してやがる。


そもそも、どうやって本家に侵入して俺がいる離れに来たんだ。


あのガキが世話になってる潮崎の力を使ったにしろ謎だ。ますます興味深い。


俺はほくそ笑みながら、折り畳み式のサバイバルナイフを手のひらで転がした。



「俺がその違和感を見逃すわけねえだろ。それに、こんな短い刃渡りじゃ簡単に殺せねえよ」

「マジで持ってたの!?てかスッたの?いつの間に!?」



颯馬は凛太朗の上着に入っていた凶器を見て、目玉を落としそうな勢いでカッと目を開いた。
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