スカーレットの悪女
こういう連中を思い通りにさせないためには、意表を突くことが一番。


私は恐怖を押し殺し、ふわりと微笑んでみせた。


荒瀬兄弟は2人とも目を丸くして立ち止まる。


しかしそれほど効果はなく、志勇の方から近づいて私の顔を覗き込んできた。


くそぅ、やっぱりダメか。



実は、転生してからひとつだけ不満がある。


それは、どうせなら美花の顔に生まれ変わりたかったってこと。


美花は顔だけは最強だった。


迫力があって大人も怖気付くくらい、気高い美人だった。


こういう場面で、カワイイ系の実莉じゃ迫力がないんだよ。


だけど私が立ち向かわなきゃいけない。


ただのガキだと思われたら、こいつらは私たちのことなんて助けてくれない。


イチかバチか、賭けに出よう。
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