スカーレットの悪女
「そんな悠長なこと言ってる場合かよ」

「お前だってそうだろ、すっかり骨抜きにされやがって」

「まあ、そうだけどさ」



事実、荒瀬の男は全員実莉に絆されてしまった。


あの天性の魔性がどこまで通じるか試してみたいもんだ。



「賭けようぜ颯馬」

「何を?」

「望月が実莉に絆されたら俺の勝ちな」

「はあ?なんだよそれ、俺はみーちゃんが無事ならそれでいいよ」

「あいつはただで転ばねえさ」



何十枚も送られてきた姉妹の写真を見ながら賭けを持ちかけると最後の一枚にたどり着いた。


そこには、眠る壱華の手を握って祈るように目をつぶる実莉の姿。


望月に気に入られたと言って安全が保証されたわけではない。


だからこそ、無事であってほしいと強く願った。
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