スカーレットの悪女
「実莉ちゃん、そこのソファ座っとって」



望月はスーツのジャケットをソファに放り投げ、腕まくりをしてキッチンに向かう。


というか私、なんで望月の部屋にいるんだ。


黒革のソファに座って冷静になると、とんでもない状況にいることが判明して怖気付いた。


だけどキッチンで鼻歌を歌いながらお湯を沸かす望月を見ていると、危険性は少ないと思って大人しく待つことにした。


しばらくして、望月はガラスポットを乗せたティーセットをトレイに乗せてソファの前のローテーブルに置き、私の隣に腰を下ろした。



「ほい、寝つきが良くなるハーブティー」

「脱法ハーブ!?」

「ちゃうわ、オレンジフラワー。幹奈がよく淹れてくれたハーブティー」



よからぬ想像を膨らませているとぴしゃりとツッコミを入れられた。


望月は用意していたマグカップに黄金色の液体を注ぐと私の目の前に置いた。
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