スカーレットの悪女
「俺の話はええねん、それ飲んではよ戻り。それとも猫舌なん?」

「……変なもの入ってない?」

「変なものって何?媚薬とか?せやったら俺にも影響あるな」



ほんの少し同情したのに、望月が下心満載で笑うからスッと目を細めた。



「聞いた私が悪かった。この変態」



変態と面と向かって言ってのける。望月は「若い子って容赦ないわ~」と乾いた笑みを静寂の広がるリビングに響かせた。


望月の動向を横目で監視しながらハーブティーを口に含む。


さっぱりとしたフルーティーな風味が鼻を抜け、飲み込むとグレープフルーツを食べた後のような苦味が残った。



「爽やかでちょっと苦い」

「蜂蜜入れる?俺もガキの頃はよく入れよった」

「大丈夫、このままがいい」



優しい香りに包まれてあたたまると、次第に気分が落ち着いてきた。



「優人が裏切るなんて、思ってなかった」



気がつけば私は、望月相手に悩みを打ち明けようとしていた。
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