スカーレットの悪女
「……マジで性格悪すぎ」



笑って通用しないなら、逆で対応するしかない。


顔を歪めて下から睨みつけると、志勇は眉をひそめた。



「あ?」

「あんたみたいな男に壱華を任せられない!」


たった一言の威嚇に怖気付いたけど、態度には出さないように声を張り上げた。


それを見ていた颯馬は“やっぱりガキだな”と言いたげにため息をついたけど、志勇は眉間のしわを解いて、さらに一歩距離を縮めた。



「じゃあどうやって姉を救う?方法はひとつしかないだろう」

「壱華を利用して西を潰そうとしてるあんたがそれを言うの?」



淡々と声を発すると、さすがの志勇も明らかに驚いた顔を見せた。

私は知ってる。

この時の志勇は、壱華を“マインドコントロールして捨て駒にしようとしていた”って。
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