スカーレットの悪女
「……でも、遺された弟があまりにも不幸じゃない?」

「それを決めるのは実莉ちゃんやない。幸不幸は他人が決めるもんとちゃう」



正確な答えが存在しない問いかけなのに、望月の力強い断言には納得せざるを得なかった。


これが西雲の若頭の器……その発言には絶大な力がある。


敵とみなされ牙を剝かれたら一巻のおわり。


しかし、味方であれば非常に頼もしい男だ。



「凛太郎は大丈夫かな……大丈夫なわけないよね」



だけど今は望月と駆け引きをする余裕は私にない。


ため息混じりに凛太朗に想いを馳せると、望月は目を丸くして私をじっと見つめていた。


圧巻の美貌に至近距離で見つめられ、意識してしまって硬直した。
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