スカーレットの悪女
「実莉ちゃん……やっぱり聞いた話とちゃうな、えらいお人好しやん」



聞いた話とはなんだろう。私は首をかしげた。



「私のこと、どういうふうに聞いてたの?」

「かわいい見た目で男を手玉に取るビッチ、みたいな感じ」



ところが、失礼なことを面と向かって言われた肩の力が抜けた。


いくら顔がいいからって、この男マジでデリカシーがない。


ときめいた私がバカだったわ。



「はあ、最低。赤星さんに相談すればよかった」



私は残りのハーブティーを一気に流し、飲み込んで立ち上がった。



「部屋に戻るん?送っていこか?」

「結構です、お茶ありがと」

「ちゃんとありがとうが言える子好きやで」



背中を向けたまま社交辞令の謝辞を述べたのに、くすっと笑ったような声が聞こえたあと私を褒めてきた。
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