スカーレットの悪女
「実莉?そこにいるの?」

「この性悪男!壱華病み上がりなんだから探るのやめてよ!むぐぐ……」



壱華が希望の光を宿して私がいる方を見つめたから声を発した。


すぐ口を塞がれたけど、望月は「よっこいしょ」なんてわざとらしく声を発して腰を上げ、入り口に近づいてきた。



「はあ、ほんまじゃじゃ馬やな。昨日のハーブティーに睡眠薬入れておくんやった。もうええよ赤星、離してやって」



物騒なことを言いながら鬱陶しそうに高い位置から私を見下す望月。


眉間にしわを寄せて顔をしかめていたけど、私の顔を見ると目を丸くした。



「おっ、今日メイクしてるん?なんかあどけなさが抜けて色っぽいなぁ……あいたっ!」



顔に触れようと手を伸ばしてきたから、すかさず口の前に来た手に噛みついてやった。
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