スカーレットの悪女
「実莉ってかわいい名前やな。確かに実ってるし、名は体を表すってやつ?」



その視線は私の胸に向けられている。



「……マジでキモイ」



なぜ望月は私の胸に固執するんだ。


そもそも、金も権力もあるんだから女なんて呼び放題じゃん。


10歳も年下のガキンチョを性的な目を向けないでよ。



「あっは、俺にそんな口の利き方できるの実莉ちゃんくらいやで」

「暇つぶしに私を使わないで」

「ちなみに俺は“大いなる希望”が名前の由来やな」

「へー、贅沢な名前」



ついに会話すらかみ合わなくなったから適当に流して壱華の部屋に歩みを進める。



「姉妹そろってつれんなあ、悲しいわあ」

「胡散臭すぎるからでしょ。何度も言うけど、壱華に危害を加えようものなら私が許さないから」

「威勢だけはええな。ここが西雲会の牙城やって分かってへんの?」

「だからって、壱華を蔑ろにはできないでしょ」



本当にこの男は何を考えているのか分からない。


原作を知ってるから目的は分かるけど、本心がまるで読めない。
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