スカーレットの悪女



壱華はすっかり熱が下がって体調はよくなったみたいだ。


それに原作と違って、そこまで精神的に疲弊してないように見えた。


たぶん私がそばにいるから安心感があるのだろう。


私がいるからきっと大丈夫。すっかり油断してしまい、あまり眠れていなかったせいか翌日は昼前に目が覚めた。


すっきりした顔で壱華に会いに行くと、壱華は部屋の中でうずくまって泣いていた。



「壱華!?」

「……ごめんなさい、実莉」



駆け寄って抱き起こすと、壱華は目を真っ赤にして嗚咽を漏らしながら謝ってきた。


どういうこと?私はわけが分からなくて壱華の肩を強く掴んだ。



「どうしたの?望月に何かされたの!?」

「巻き込んでごめんね……」

「え?」



すると、壱華の足元に、無造作に開いたままのファイルが落ちていた。


手に取って見ると、新聞の切り抜きの記事と、次のページに幹奈の写真を見つけた。
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