スカーレットの悪女
「……これって」



“親子3人を乗せた車が川へ転落　子どもは車外に投げ出され行方不明か”



この記事、壱華の両親が亡くなった当時の新聞だ。


この時壱華は車におらず、すでに相川亮太に預けられていた後だった。


だから西雲は壱華が死んだと思っていたんだ。


そして、私は幹奈の写真を見つめた。


見れば見るほど壱華に似ている。違うのは、目元の泣きぼくろくらい。



「私、ずっと真実から目を逸らして……」



そうか壱華は……ついに真実を知ってしまったんだ。



「壱華、自分を責めないで。壱華を守ろうって決めたのは私だから」

「でも、私さえいなければ実莉はこんな目に遭わずに済んだのに……ごめんなさい」

「謝らないで。私がしてきたことが全部間違ってるみたいに聞こえるから」

「っ、そんなこと思ってない……！」



少し強い口調で声を張ると、壱華はやっと顔を上げた。



「うん、分かってるよ」



私はそっと壱華を抱きしめた。


こういう時、大きな体で壱華を包み込むことができる志勇が羨ましいと思う。


悔しいけど志勇は包容力があるから、こういう時私みたいにわざと意地悪なことを言わなくても壱華を落ち着かせることができるのだろう。
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