スカーレットの悪女
厄介なことに、実莉はちっとも俺に心を許してないくせに、俺の方が先に警戒を解いてしもうた。


結果的にペースを乱されてメッキを剝がされたのは俺の方。


底が知れない魔性の女。その思惑が知りたいだけやったのに。


何者なのか探った結果、本能が求めてる。


認めたくないけど、もう言い訳できひんな。



いい加減、実莉に惹かれとるってこと。



「あっはは、おもろいなぁ自分」



もう意地張るのやめよ。駆け引きしたって無駄やな。


笑うと、実莉はびくっと体を震わせて口をきゅっと結ぶ。


やっぱり怖かったんや。必死に我慢して、眉毛をキッと上げて平常心を取り繕う姿がかわいくてたまらん。



「てかほっぺやわらかぁ、赤ちゃんやん」

「赤ちゃんじゃない!私も見た目で子供扱いするおっさんが嫌い!」

「おっさん?俺はこんなかっこええから違うな」



実莉は俺の顔色を伺いながらどこまで通用するか試してるように見えた。


けど、ナルシストみたいな発言をすると、実莉は見たことのない顔をして顎を引く。


「あっは、その顔好き。ドン引きの顔もかわええなあ」



最初は取り入って利用してやる気やったけど、ここまで夢中にさせられたら本気出すしかないなあ。



「気に入ったわ、実莉ちゃん」






計画変更、全力で堕としたるわ。






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