スカーレットの悪女
「5年前、クスリの取引で赤星と警察官の佐々木が揉めた話は知ってるやろ?けど赤星はヘマしたんやない、嵌められたんや」

「誰に?」

「元西雲の直参、天音(あまね)組の連中に」



天音組……うーん、一瞬原作で名前が出てきた気がするけど、詳細が思い出せない。



「天音は最後まで、俺の親父が養子縁組してまで若頭に就任することを反対しとった奴らや。結局内輪揉めで西雲を抜けて極山に魂を売った」

「そんなことが……」

「それを裏で手を引いてたのが山城。あいつのせいで俺は赤星を失うところやった」



天音との内輪揉めが赤星につながる?


私はいまいちピンとこなくて首を傾げた。


それに赤星を過酷な環境に放り出したのは望月本人なのに。



「運よく赤星は生き残ったけど、ヘマした組員は処分せなあかん。
けど俺は赤星を手放したくなかったから、苦肉の策で佐々木そっくりに顔を変えて成果を上げてから戻って来てもらうことにした」



そうして知る由もなかった真実が白日の下にさらされ、私は自分がいかに浅はかな人間なのかを思い知った。


望月大希は、部下の顔を無理やり整形させて警察にスパイとして送り込んだ狂気の男。


しかし、その認識自体思い込みだったんだ。
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