スカーレットの悪女
「赤星さん、しばいていいですか?」

「どうぞ、セクハラした大希が悪いので」

「なんで部下のお前が許可するんや!あいたっ!」



見直したけど、セクハラは許したらエスカレートするから成敗するべき、と振りかぶって望月の頭を叩いた。


すると大げさに痛がってショックを受けた顔で私を見つめる。



「ええっ、親父にもぶたれたことないのに……」

「そのセリフホントに言う人いるんだ……」



叩いてもふざけたことを言うから、私は望月の手が離れた隙に立ち上がって「壱華に会いに行くから邪魔しないでね」と釘を差して部屋を飛び出した。


部屋を出るとなぜか赤星がついてきた。


私に何か用事だろうかと思ったら、彼の乏しい表情がほんの少し変化した。


なんだか自慢げというか、勝ち誇った顔に見えた。



「ほら、私の言った通りになったでしょう」

「何がですか?」

「大希のお気に入りになるまであと一歩だと」



その時、私は以前彼に言われたことを思い出した。


あと一歩ってなんのことだろうと思ったら、大希に気に入られるまで秒読みだって言いたかったの?
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