スカーレットの悪女

「あれそういう意味！？」

「おめでとうございます、これからは存分にその立場を利用してください」

「私は一刻も早く荒瀬に帰りたいだけなのに」



利用しろと言われても、私たちは早く荒瀬に戻って日常生活に戻りたいだけ。


おそらく荒瀬に帰ったら志勇は壱華にプロポーズするだろうから、結婚式に参加して、数年後生まれてくるであろう甥っ子姪っ子に会えればそれで満足だ。


自分の今後の人生はどうでもいい。


理想や夢なんてないから、ただ壱華の行く末を見守りたいのだ。



「果たして大希は実莉さんを手放せますかねえ」



すると、赤星はぼそっと呟いて私の注意を引いた。


手放せるでしょ。あいつにとって私は暇つぶしなんだから。