スカーレットの悪女
「……よしよし」

「なんやそれ、そんな子供騙しが通用するわけないやろ」



大希は頭を上げた瞬間、私の腕を引いて自分の胸に私の顔を押し付けた。


胸板が厚くて強く抱きしめられると痛い。


待って、今までハグされてきた誰よりも胸板分厚いんだけど。



「あー、疲れた。実莉のふわふわおっぱい堪能させて」

「は?無理無理、赤星さーん!」



192㎝も身長あっていい体つきなの気になる、と思ってけど酔っぱらいのだるいセクハラが始まった。


私は赤星の名を叫んでジタバタ暴れてなんとか懐から抜け出し、畳にぺたんと尻もちをつくように座った。


しかし、大希は体を横にしたまま片手を繋いで離してくれない。



「なーんて、手は出さへんから大丈夫。荒瀬志勇と穴兄弟なんて嫌やん」



人懐っこい笑みでそう言われて安心したけど、なんかとんでもない単語が聞こえた気がする。
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