スカーレットの悪女
「は?なんて言った?」

「だって、実莉ちゃん荒瀬志勇のお手つきとちゃうの?」

「はぁぁぁ!!?」



ようやく合点がいった。なぜ私に数々のセクハラ発言をかましてくるのか。


こいつ、私のこと志勇のセフレだと思ってたの!?


ありえない!志勇は壱華以外眼中にないんだってば!


そもそも私は志勇のタイプじゃないの!


てか、昼間の電話のデレデレ具合目の当たりにしたら分かるでしょ。


志勇の甘い声に全身鳥肌立ってたわ!



「違いますけど!生娘だわ!」

「ほんまに?えっ、ごめんなぁ……経験済みかと思って下ネタバンバン言いよったわ」



大希はなぜか安心したように吐息を吐く一方で、目がぎらついて怖い。


壱華が言ってた、志勇がいつもより怖い顔で見つめてくるときはえっちなこと考えてる時だって。


つまり大希もそうなのだろう。



「最低、死ね!」



冷静になろうと努めたけど、度重なるセクハラに私はついに暴言を吐いた。



「あっはは、楽しいなぁ。実莉のことずっと手元に置きときたいわ」



死ねなんて淑女とは思えない発言をしたのに、大希は実に楽しそうに笑って再び私と指を絡めてにぎにぎする。


その時、私はもう大希の手が怖くないことに気が付いた。
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