スカーレットの悪女
「で、実莉どこ行くつもりなん」



私は大きな歩幅で歩いてるつもりだったけど、しばらく並走して大希の歩幅と同じことに気が付いた。



「壱華の部屋に戻るの。今日は一緒に過ごすって決めたから」

「ほんまにシスコンやな」



今度は小走りで振り切ろうとしたけど、大希は少し早足になるだけで全然余裕そうだ。


物理的に距離を離すのは無理と察して、いつも通りの歩幅で歩くことにした。



「なんでムスっとしてるん?かわいいから目の保養にしかならんで」

「もう喋らないで!」



圧倒的スタイルの差に敗北感を感じて、八つ当たりじみたことを言って黙らせた。


大希は口は閉じたけどニヤニヤして視線がうざい。


厄介な男に懐かれてしまったものだ。


どうしたものかと考えているうちに、壱華の部屋にたどり着いた。
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