スカーレットの悪女
「ほれ雅、威嚇せんと挨拶して。大事なお客様やから」



大希が声をかけると、苦虫を嚙み潰したような顔で屈辱だとでも言いたげに顔を歪めた。



「……天音(あまね)雅です、どうぞよしなに」



渋々挨拶してくれたけど、目が血走って怖いよ。


絶対仲良くする気ないじゃん!


終始睨まれて居心地が悪い。


ところが「雅、俺の部屋で待っとき」と大希にカードキーを渡され嬉しそうに受け取って壱華の部屋から出ていった。


はあ、やっと静かになった。嵐のような男だった。



「壱華、大丈夫だった?何もされてない?」



呆然とする壱華に手を貸して立ち上がらせる。



「……うん、迫られてびっくりしただけ」



後の荒瀬組の姐になんて失礼な真似をする男だ。


憤りを覚えたけど、ふと我に返った。


私もかなりのシスコンだけど、ひょっとして他人からあんな風に見えるのかな。


それって周りの人にすごい迷惑だな。仲いい人以外にはシスコン抑えて自重しよう。
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