スカーレットの悪女
「おっ、くすぐられるの弱いんや」

「ひひっ、やだ、やめて……!」



お仕置きってなんだろうと思ったらくすぐりの刑か。


効果てきめんだ。私はくすぐられるの弱いから。



「やめてってば、あははは!」



私は腹から声を出してバカみたいに笑った。


逃げようとすればするほど服がはだけてくすぐられる範囲が増えてしまう。


お腹が丸出しになった頃、ようやく大希の手が止まった。


しかし、お腹に当てている手を離す気配がない。



「ふふっ……何?手離してよ」



上体を持ち上げて大希の顔を見ると、笑っていたはずが一転して見てはいけないものでも見てしまった顔をしている。


その視線の先は――美花に刺された傷跡に向けられていた。
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