スカーレットの悪女

「壱華、ちゃんとご飯食べなきゃダメだよ。志勇が心配するよ」



実莉は、寝床から少し離れた場所に置かれた手の付けていない朝食を見て不安そうな顔をする。



「……分かってる」



ここに来てずいぶんと食欲がない。


食べなきゃいけないって分かっていても、もしこのまま志勇に会えなかったら……そうネガティブに考えてしまう。


結局、わたしは自分のことでいっぱいで実莉に心配をかけてしまうばかりだ。


つらいのは実莉も同じなのに。情けなくて気がつけば涙が頬を伝っていた。



「ごめんね、実莉」

「な、なんで泣くの！？どうしたの壱華」

「わたしがしっかりしなきゃいけないのに……情けない」



泣きだすと、実莉は一転して慌てた様子でわたしに駆け寄ってきた。