スカーレットの悪女
「てか、私に会えないとか言うけどそもそも私は荒瀬と関係ないから」

「せやったら、実莉は俺のものにしてええってこと?」

「私の居場所は壱華の隣なんです~!」



本能的に恐れを抱くような人なのに、実莉は対等に言い合っている。


正直、志勇より扱いが雑というか犬猿してるのが伝わる。


でも実莉は頭がいいから、こんなに露骨な望月さんの気持ちに気がついてないわけない。


脈ナシに見えるけど、実際のところどうなんだろう。



「あっは、そのぶりっ子みたいな話し方かわいい」

「はあ、何言ってもめげない……うざっ。そもそもなんで私に執着してんの?」

「なんでやろな」



実莉はキレられても仕方ないくらい辛辣な言葉を並べているのに、望月さんはまさかの満面の笑み。


無意識に惹かれる綺麗な笑顔だけど笑うポイントおかしくない?


わたしはドン引きしてひきつった表情をしてしまった。


しまったと思ったけど、振り返ってきた実莉もまったく同じ顔をしていたから初めて望月さんの前で笑った。
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