スカーレットの悪女
実莉が好き?異性として?


……実莉のことが好き!?



「んで、質問なんやけどなぁ」

「ダメです」



分かっていたけど言葉にされると猛烈に嫌悪感が増す。


望月さんが喋ってたけど間髪入れずに口を挟んだ。



「何が!?まだ本題に入ってないんやけど!」

「実莉の初めての彼氏が、よりによってあなたなんて絶対イヤです」



実莉は誰にも翻弄されず自由に生きて欲しい。


ヤクザに好かれたら、気ままに生きることすら叶わない囚われの人生になってしまう。


よりによって非道の覇王が実莉をお気に召すなんて。


頭を抱えたけどふと思い返した。


私が志勇と出会ったとき、実莉もこんな気持ちだったのかな、と。



「え?実莉彼氏おったことないん?」



望月さんはらんらんとした大きな目をさらに丸くして驚いている。


この人、実莉のことになると本当に表情豊かになるな。


まるで志勇みたいだ。普段は感情の起伏があまりないけど、私と一緒にいる時は別人みたいだから。



「そうです。だからこそ、実莉の相手は誠実な人じゃないと嫌です」

「分かった。すぐ籍入れて責任取るわ」

「そういう問題じゃ……」



わたしが言ってる誠実は、まともな仕事をしてる人のことだ。


志勇と付き合ってる手前、私も強く言えないけどせめて実莉は普通の恋愛をしてほしい。
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