スカーレットの悪女
「ちょっとこっち来て」



そう言って私をソファに導こうとする大希。



「……何する気?」

「なんもせえへんから大丈夫」

「怪しい……」



キスの前科があるから簡単に従わないつもりが、大希が手に小さな紙袋を持っていたから気になって近づいた。



「実莉、はいこれ」

「ん?なにこれ」



大希はそれを私に渡すと、にっと笑って犬歯を覗かせた。


最近その人懐っこい笑い方するけど正直やめてほしい。


一歩間違えたら絆されてしまう。



「俺からのプレゼント。実莉に似合うかなって」



大希の笑顔にばかり注目していたから、渡された紙袋をよく見ていなかった。


紙袋には有名なハイブランドのロゴが入っていた。


待って、いったい何を貢ぐつもりなのこの男。


私が折れないからって、ついに高額プレゼント作戦を決行するつもり?
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