スカーレットの悪女
まあ、覇王が気に入ったのも納得できる。


あんなかわいい顔してるのに、したたかでぶっ飛んでる女に出会うことは後にも先にもないだろう。


からかいがいがあるから仲良くしてただけ。


俺はなんとなく、実莉はとんでもない男に見初められるんじゃないかなって思ってたからダメージはなかった。


俺が実莉に対して抱く感情は恋慕と憧憬が混ざりあったもの。


ただ、順調にいけば実莉は理叶とくっつくと思っていたから驚きだった。



「理叶?」



俺は納得した一方で、理叶は抜け殻のようだった。



「いや、なんでもない」



呆然と呟いた理叶は、静かに部屋の外に出ていった。


実莉と離れて2週間。理叶は日に日に精神が安定しなくなっている。


理叶は本気で実莉が好きだ。


けど、慕っているからこそ本性を知られるわけにいかなくて、好きだなんて言えなかったんだと思う。
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