スカーレットの悪女
昨日それを大希に知らされた壱華は涙を流して喜んだ。


安堵して眠りについた壱華は緊張の糸がようやく切れたようで、昼前だけどまだ起きてこない。


私は逆に早く目が覚めちゃったから、やっと帰れることが嬉しくて鼻歌を歌いながら暇つぶしにクッキーを焼いていた。



「は?大希さん仕事に行ってはるのになんでおるん」



オーブンの前を陣取ってもう少しで焼きあがるクッキーを眺めていると、なぜか雅が部屋に入ってきた。


それはこっちのセリフだ。部下のあんたが大希の部屋になんの用?


颯馬も志勇の部屋の合鍵持ってるから、用事がある時だけふらっと入って来るけど、雅は大希がいなくても入って来るもんな。


限界オタクもこじらせると家主がいないのに家に入り込むのか、怖すぎ。
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