スカーレットの悪女
「そうだとしても、私は壱華が一番大切なので丁重にお断りしますよ」

「実莉さん、ほんまにご自身に興味ないんですね」



改めて私の意思表明をすると、赤星は呆れたような口調の中に独特の抑揚を混ぜてうっすら笑った。


この人、どこにでもいそうな顔ではあるけど、笑うと色気増すし関西弁の破壊力やばいな。



「丞さんの関西弁初めて聞きました!」

「上手やなぁ、そうやって気を逸らすの」



興奮気味に思ったことを伝えただけなのに、気を逸らすために発言だと思われた。


それにしても不意打ちの関西弁いいな。


こんなギリギリで赤星の魅力に気が付くとは。


しかも方言って身近に感じて距離感がぐっと縮まった気がする。



「私は、実莉さんなら歓迎ですよ。根性が人一倍ありますからね、ツッコミもうまいですし」



すると赤星は物理的に距離を縮めて私を受け入れる姿勢を見せた。


ツッコミの腕は関係あるのか?と思ったけど大阪ジョークかな。



「あ、大希が呼んではったので部屋に行ってください。行かないと私がどやされるんで」



赤星は思い出したように私に告げると、すれ違った先の廊下の突き当たりを曲がった。
< 582 / 807 >

この作品をシェア

pagetop