スカーレットの悪女
『悪女の命運』

猫被りの虎

車で空港に向かい、1時間半で東京にたどり着いた。


タクシーで荒瀬組の本家に向かい、立派な数寄屋門を見てようやく東京に帰って来たのだと実感した。



「はー、これが天下の荒瀬か。ここに来るんは最初で最後やろうから、しっかり目に焼き付けとこ」



しかし、隣に大希がいるものだから緊張感がまるでない。


やっぱり大希は原作通り、壱華を連れて荒瀬のシマに足を踏み入れた。


メンバーは赤星と少数の護衛。狂犬オタクの雅はここには連れてきていないようだ。


まあ、あの人大希に何かあったら暴走しそうだもん。その様子が目に浮かぶ。


そんなことより、西雲の若頭が敵地に乗り込むなんて危険極まりない。


しかしそうまでして荒瀬に来たということは何か理由があるはず。


壱華もそれは分かっているみたいだけど、志勇に会える喜びからあまり気にしていないようだった。


壱華は嬉しそうに車から出て開いている門をくぐる。


私と大希もその後に続いたけど、ふたりして立ち止まった。
< 593 / 821 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop