スカーレットの悪女
怯えるように一点を見つめる壱華。


そしてダイニングテーブルを挟んで対峙する、面識のない若い女の姿があった。


その女の手には、夕陽に反射して不気味に光る、ナイフが握られていた。


なんで?誰なの?そのナイフで壱華をどうするつもり?


こういう時ほど冷静にならなきゃいけないって分かってる。


だけどいてもたってもいられなくて、こっちにまだ気がついていない女めがけて体当たりをした。



「いっ……!」

「実莉!?」



死角からの攻撃にうめき声を上げて倒れた女、手から離れたナイフ。


私はそれ目がけて手を伸ばし掴んだものの、足を掴まれてバランスを崩し、凶器を巡って掴み合いになった。
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