スカーレットの悪女
ううっ、心底嬉しそうな顔しやがって。
私には壱華の家族として物語の行く末を見守る義務が――いや、私はたった今ここで“ヒロインの妹”という立場を失ったのか。
覇王の花嫁なんて称号、私には必要ないのに。
だけどうまく思ってることが言葉にできず、口をぱくぱくさせて空気を吸い込むことしかできない。
見かねた志勇は大きなため息をつき、颯馬は目を丸くして「西の虎がみーちゃんにご執心とは……」と驚いていた。
「な、何言ってんの?あんたは生涯独身で、配偶者なんて居ないはずじゃ……」
何かの間違いであってくれ、いっそドッキリで構わないから。
「はぁ?帰ったら実莉を娶るつもりやけど」
しかしあっさり否定され、娶るなんて宣言されてしまった。
「マジかよ、女の趣味わりぃな」
「志勇、実莉の姉であるわたしの前でそれを言うの?」
すると志勇が鼻で笑ってきたけど、すかさず壱華に咎められて口を閉ざした。
「悪い、壱華もシスコンなの忘れてた」
しかし、やっと壱華に触れられて幸せそうだ。
志勇は壱華の腰を抱き、全然悪いと思ってなさそうな顔で微笑んだ。
私には壱華の家族として物語の行く末を見守る義務が――いや、私はたった今ここで“ヒロインの妹”という立場を失ったのか。
覇王の花嫁なんて称号、私には必要ないのに。
だけどうまく思ってることが言葉にできず、口をぱくぱくさせて空気を吸い込むことしかできない。
見かねた志勇は大きなため息をつき、颯馬は目を丸くして「西の虎がみーちゃんにご執心とは……」と驚いていた。
「な、何言ってんの?あんたは生涯独身で、配偶者なんて居ないはずじゃ……」
何かの間違いであってくれ、いっそドッキリで構わないから。
「はぁ?帰ったら実莉を娶るつもりやけど」
しかしあっさり否定され、娶るなんて宣言されてしまった。
「マジかよ、女の趣味わりぃな」
「志勇、実莉の姉であるわたしの前でそれを言うの?」
すると志勇が鼻で笑ってきたけど、すかさず壱華に咎められて口を閉ざした。
「悪い、壱華もシスコンなの忘れてた」
しかし、やっと壱華に触れられて幸せそうだ。
志勇は壱華の腰を抱き、全然悪いと思ってなさそうな顔で微笑んだ。