スカーレットの悪女
「で、なんで立ち止まったの?」
「壱華に渡す物があった」
ところでなぜ大希は急に立ち上がったのか。
呟いた大希は部屋の外に待機していた護衛に話しかけ、しばらくして彼が持ってきたのは、風呂敷に包まれた長方形の薄い箱だった。
大希はそれを持って壱華に近づき「これを受け取ってほしい」と差し出した。
「壱華、受け取るな」
「まって、中身を確かめさせて」
「他の男から物をもらうなって言ってんだ」
「志勇、中を確かめさせて?」
嫉妬心の深い志勇は駄々をこねたけど、壱華に冷ややかな笑みで同じことを二度言われてさすがに黙った。
大希は「別にこれは俺からのプレゼントやないから」と前置きして箱を地面に置く。
壱華は風呂敷を解き、現れた桐の箱をそっと箱を開けた。
「あ……」
壱華は中身を見て驚いている様子だった。
鮮やかな朱色の生地と、おごそかな金糸の刺繍。
「幹奈が着てた着物、もらってくれへん?」
ああ、そうかこれは……写真の中の望月幹奈が着ていた赤い振袖だ。
「……綺麗、大事にします」
「ええよ、元々会えたら渡そうと思うてたし」
「本当に……これまでありがとうございました」
「よさんかい、照れるやん」
壱華は大希と顔を合わせると、深々と礼をした。
確かに私たち姉妹はこの男に救われたのだ。
助けてくれたのは私も感謝してる。でももう少しで壱華と離れ離れになるのは納得いかない。
「壱華に渡す物があった」
ところでなぜ大希は急に立ち上がったのか。
呟いた大希は部屋の外に待機していた護衛に話しかけ、しばらくして彼が持ってきたのは、風呂敷に包まれた長方形の薄い箱だった。
大希はそれを持って壱華に近づき「これを受け取ってほしい」と差し出した。
「壱華、受け取るな」
「まって、中身を確かめさせて」
「他の男から物をもらうなって言ってんだ」
「志勇、中を確かめさせて?」
嫉妬心の深い志勇は駄々をこねたけど、壱華に冷ややかな笑みで同じことを二度言われてさすがに黙った。
大希は「別にこれは俺からのプレゼントやないから」と前置きして箱を地面に置く。
壱華は風呂敷を解き、現れた桐の箱をそっと箱を開けた。
「あ……」
壱華は中身を見て驚いている様子だった。
鮮やかな朱色の生地と、おごそかな金糸の刺繍。
「幹奈が着てた着物、もらってくれへん?」
ああ、そうかこれは……写真の中の望月幹奈が着ていた赤い振袖だ。
「……綺麗、大事にします」
「ええよ、元々会えたら渡そうと思うてたし」
「本当に……これまでありがとうございました」
「よさんかい、照れるやん」
壱華は大希と顔を合わせると、深々と礼をした。
確かに私たち姉妹はこの男に救われたのだ。
助けてくれたのは私も感謝してる。でももう少しで壱華と離れ離れになるのは納得いかない。