スカーレットの悪女
「お前のことだから大阪に行ってもすぐ帰って来るだろ」

「もちろんそのつもりですけど?私にとっての1番は変わらず壱華だし」



壱華を幸せにしたい。


そう願って全力疾走していたはずが、ゴールテープを切った先で待ち構えていたのは原作超えの急展開。


私の人生の先行きは不安だけど、今は『闇色のシンデレラ』のハッピーエンドが確定したことを喜ぶべきかな。



「全部終わったね、これからは志勇と幸せにね」



抱きついたまま、顔を上げえ微笑むと壱華はかすかに頬を紅潮させて笑う。


やっぱり志勇といる時の壱華はとびきりかわいいな。


完成された美しい笑みに見とれていると、壱華の口元が動いた。



「全部終わったから、実莉はこれから自分を1番に考えてね」

「えっ……」

「実莉って、私のことばかりで自分の幸せを想像したことないでしょ?」



確かに壱華が最優先だったけど、結構したたかにわがままに生きてた気がする。


でも、確かに自分の未来を想像したことはなかった。
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