スカーレットの悪女
「実莉、おかえり」



玄関の戸を開ける直前に勝手に引き戸が動いて、理叶と光冴と対面した。



「びっくりした~。あんたたち、寒いから部屋の中で待ってたらよかったのに」

「待ちきれなくて」

「車の音がしたから帰って来た!と思って気が付いたら飛び出してたよね」



理叶は私を見ながらはにかんで、光冴は肩をすくめながら眉を上げて変な顔をしている。


よかった、私の知ってるいつも通りの二人だ。



「理叶、光冴!ただいま!」



なぜか鼻の奥がつんとして涙があふれそうになったから、荷物を持ったままふたりに抱き着いた。




「相変わらず猪突猛進だな」

「全然変わってなくて安心したわ」

「私も二人がいつも通り受け入れてくれて安心した!」



理叶に鼻で笑われて、光冴には呆れたようなため息をつかれたけど、顔を上げるとふたりとも涙ぐんでいた。


思わず涙を誘われそうだったけど涼ちゃんが「私も混ぜて!」なんて突撃して来るから、4人でもみくちゃになりながら笑って再会の喜びを分かち合った。
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