スカーレットの悪女
「でも身を挺して守ってくれたのに、私はあと1か月後にはいなくなるよ」



だって私はもう荒瀬にはいられない。


永遠に続くと思っていたこの友情関係。


しかし今は理叶と光冴と過ごす時間にはタイムリミットがある。



「うん、知ってる」

「正直こうなる気はしてた」



2人の反応が怖くて目を合わせられずにいると、予想外の回答を返って来た。


誰からこの話を聞いたんだろう。つい先ほど決定したことなのに。



「それでも、俺たちはいつまでも実莉の味方だから」

「残り一か月、俺たちと楽しく過ごそう」



理叶と光冴は私に近づいて、寄り添うように微笑んで私と顔を合わせる。


変わらない2人の優しさに揺さぶられ、私は涙をこらえてとびきりの笑顔で大きくうなずいて応えた。



「実莉、俺からも話がある」

「ん?」

「実莉が帰ってきたら言おうと思ってた」



すると理叶は少し緊張した様子で私と目線を合わせるように膝を着いた。


そして心を落ち着かせるように息を吸って、不安そうな表情を切り替えて笑みを浮かべた。




「俺、実莉のことが好きだった」



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