スカーレットの悪女
互いにどうしていいのか分からず立ち尽くしていると、光冴は私たちの間に立って、私と理叶の腕を掴んだ。


そして二つの手を引き合わせ、ぎこちない握手を交わすように手を繋いだ。



「理叶にその資格がないなら、俺にはもっとないよ」



繋ぎ合わせた手を見つめ、無理やり笑ってみせた光冴。


絞り出したその声は震えていた。


理叶と同じように光冴も苦しんでいたのだと知り、強烈な罪悪感に苛まれる。


しかし、ここで謝っても何も解決しない。


むしろ理叶と光冴を困らせるだけだ。



「……せめて最後まで、親友として振舞うことを許してほしい」



しばらく続いた無言は理叶によって打ち破られた。


私は嗚咽混じりに大きくうなずき「もちろんだよ、ふたりとも大好き!」なんて私らしい元気いっぱいの声とともに抱き着いた。



「ははっ、猪突猛進なところは変わらないな」

「でも、俺たちは実莉のこういう素直さに惹かれたんだもんな」



私の背に理叶と光冴の手が重なった。


3人でハグをして泣きながら遅くまで語らっていたら、翌日まぶたが腫れて涼ちゃんに「3人そろって酷い顔よ」って笑われた。
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