スカーレットの悪女
「実莉がどれほど姉貴を慕ってるかあんたが一番分かってんだろ!」

「俺が考えたことじゃねえ。望月が実莉に惚れてんだよ」

「……ん?」



詰め寄る剛さんだったけど、志勇がのっぺりした緊張感のない顔でそう言うから大きく首を傾げた。



「あの猫かぶり野郎、ロリコンだったらしい」



さらに続けると、剛さんは目だけ妙に見開いた独特の表情で動きを止めた。


剛さんのバックに銀河がきらめく宇宙の背景が見える。まさに宇宙猫状態だ。



「なおさらなんで許したんだ!」



しばらくして事態を飲み込んだ剛さんは、今度は烈火のごとく怒り出した。


そりゃその説明だと怒るわ。


下から志勇の顔を見上げると口の端がいじわるそうに笑っている。


志勇、剛さんが割とこういう嘘を信じるタイプだからって反応見て楽しんでるな。


さすがひねくれ者。相変わらずの性格のねじれ曲がりようだ。
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