スカーレットの悪女
「志勇、ありとあらゆる誤解を生んでるから私に説明させて」



鼻息荒く志勇に詰め寄る剛さんの腕を掴み、邪魔が入らないように志勇から距離を取って簡潔に説明した。



「そうか……俺がこんなことになってる間に」



剛さんは肩を落としていたたまれないとでも言いたげな顔をする。



「実莉はそれでいいのか?」

「……分かんない」



剛さんはあの時大希と会ってなかったから心配しているようだ。


同業者の、しかも非道の覇王なんて呼ばれてる男だもん。


実際はうざいくらいおしゃべりで人懐っこくて、お気に入りには特別待遇で甘やかす男だなんて想像できるはずないよね。



「いくら壱華さんが世界で一番大事でも、自分を犠牲にするのはやめろよ」

「うん、ありがとう剛さん。でも最終的に納得して決めたことだから。
こうなったらいっそ開き直って、超VIP待遇を要求して贅沢してやる!」

「そういうことじゃねえんだけどな……」



剛さんは案外ポジティブな私を見てため息混じりに安心したように笑った。


大阪ではこういうこと言ったら全力でツッコミ入れられてたけど、東京の人って呆れられたようで心配してくれる人が多いんだな。


関西人に慣れてしまった分、こっちでのリアクションがなんだかさみしく感じる。


やっぱり私、気質的に大阪が合ってたりして。
< 636 / 824 >

この作品をシェア

pagetop