スカーレットの悪女
眉を釣り上げ、ムッと唇を結んでふざけた顔をしている。



「おかげで俺30分もこの辺うろついてん。自分ら報連相どうなってん」

「渋滞に巻き込まれて……すんません。一応丞さんに連絡入れましたけど」

「なんやて?赤星ぃ、お前上司に報連相は!?」



ああ、大阪特有のゆるくて自由な雰囲気懐かしい。


なんだ、大希って最後に会った時と全然変わってないな。


よく喋るし表情豊か。そして相変わらずおかんのごとく赤星さんに頼っているみたい。



「大希がうきうきしながらうろついてんのおもろいなあ思ってあえて放置してました」



西雲のおかんこと丞さんも、最後に会った時と変わりなく無表情で玄関から姿を現して門の近くまで歩いてきた。


さすが若頭のお気に入り。適度に雑に大希を扱っている。


以前より関西弁が流暢になっていて、そこだけ時間の流れを感じた。



「変な放置プレイやめぇや!ったくお前は……まあええわ、赤星叱りつけてるヒマあったら実莉とイチャイチャしたいわ」



諦めたようにため息をついた大希は、丞さんに向けていた目線を私に向ける。


なんだろう、情勢が変わったはずなのに大希たちが何ひとつ変わらなくて1か月ぶりの再会とは思えない。


特にこの、私が一言も発さなくてもどんどん会話が発展していく感じ、東京では味わえない感覚だ。
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