スカーレットの悪女
雅は始終プリプリ怒りながら部屋を出ていった。


私も志勇と壱華が付き合い始めはあんな感じだったな、なんか懐かしい。



「さて、朝早く出てお腹空いたやろ。飯でも食べ行かん?」



出ていくまで2人で眺めていると、大希が私の手を握りながら問いかける。


私は問いに答えることなく、重なった手を見つめて、この男スキンシップ好きだよなと思った。



「実莉、どうする?」

「移動で疲れてあんまりお腹空いてないんだよね」

「ありゃ、せっかく寿司予約したのに」



しかし、寿司と言われたら誰だって目の色を変えるだろう。



「……寿司って、回らないお寿司?」

「大阪に来てくれたら贅沢させるって言ったやん」

「なんですって?高級寿司は行くしかないでしょ!」



みるみるお腹が空いた気がしてきて、私は床に置いたバッグを肩からかけて出かける準備を整えた。



「実莉のそういう潔いいところ好きやで」



現金すぎて嫌われる要素としては十分けど、大希が笑ってくれたからご機嫌にウインクしてみせた。
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